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2008年07月11日

「水源」(アイン・ランド著)読了

「水源」アイン・ランド/著 藤森かよこ/訳
 出張の移動中や、仕事の待合い時間を利用して、ちょこちょこ読んできたのが、昨日にようやく読了しました。二段印字のうえ、1000ページを越えるボリューム(しかも価格は5000円!)という大作でした。ふだん小説を読まない私が、大きさも厚さもケタ違いのこの本をどうして読むようになったかというと、今話題の「静かに恐慌化する世界(副島隆彦・著)」という経済書籍で紹介されていたからです。米国の多くの経済人が、学生のうちに読む一冊としてあげられていました。アメリカのビジネスマンの勤労観や思想がよくわかるというのです。

 主人公のハワード・ロークと友人キーティングの学生時代のエピソードから始まり、社会のうねりのなか、三十代後半をむかえるまでの物語です。仕事を通じて自己実現を目指すロークに対して、周囲と相互依存のなかで権力を握ろうとして埋没していくキーティングの対比は、胸が痛みます。ハワードの存在を怖れて、様々に策をめぐらし、追いつめるエルスワース・トゥーイーには最後の最後まで目が離せません。そして後半に正体を現し、一気に物語を走らせるゲイル・ワイナンド。それぞれの男達と魂でむきあい闘ったドミニク女史の硬派な愛。とにかく展開の読めない、面白い小説でした。

 自分は今、主人公達の物語後半の年齢にさしかかっています。ハワードのように凛として物事に向き合えているだろうか、キーティングのように何かに流されていないか。自戒させられます。ハワード曰く「他人のために生きようと試みる人間は、依存者です」と。手厳しい表現だけれども、個人の自立を訴えるものです。昨今の政治や教育問題を考えるとき、一助になるものの見方かもしれません。

 福島氏の紹介どおり、この本は学生さんに一読しておいてほしいですね。将来、社会人とし働くときに、有意義な視点を授けてくれます。

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