一月二一日の書き込みにて、「後述しますが、仕事で移動が多かったもので」と記しておきながら一切続報を入れておらずすいませんでした。小説を読んだのは一月一七日のこと。所用で兵庫県に行ってきました。その移動の飛行機のなかのことでした。
その日は、当社の肉屋としてはお休みでした。しかしなんと贈り物の届け先に荷物が届いていなかったのです。おもいがけず電話でそのことを知りました。その届け先というのが兵庫県で、完全に当方のミス。お詫びして再送の交渉をするも、お客様の「なんとしても今夜食べたかった」というお話があんまり切実で、そこで商品をもって急ぎ伊丹に飛んだのです。タクシーを乗り継ぎ、商品を手渡しでお届けしました。お客様にはご迷惑をおかけしましたが、その誠意をくみ取り喜んでいただけました。
さてその晩のこと。すでに帰りの飛行機がなくなっていたので、尼崎に宿泊することにしました。居酒屋めぐりでもしようかとブラブラしたのですが、さっぱり人がいません。もちろん家路についてる人はいるのですが、お酒に酔って談笑してる人や、店内で食事してる人がチラホラとしか見あたらないのです。「これは大変な不景気だ・・この街もそうなのか・・・」と、結局ホテルに隣接する居酒屋で飲んで部屋にもどりました。
寝る前にニュースをみて納得しました。自分は朝から、仕事に追われていて気づきませんでしたが、その日は14年前に阪神大震災のあった日だったんです。多くの方が、家族や親戚、友人を亡くした日です。私のまわった場所が、芦屋や尼崎というまさしくその現場でした。今日のお客様は、そういう大事な日にお客さまを招いて一宴設けるところだったんですね。再送で、翌日になってはいけないものだったのです。電話での必死な思いが理解できました。あらためて反省し、また私たちのような商売は(ポパイもそうなのですが)店側の思いを越えて、お客様の深い思いを背負うことがあることを学びました。人の縁は一期一会、だからこそ大切にしゃなきゃいけないんですね。